現代の人が1日に触れる情報量は、江戸時代の人の1年分に相当するらしい。これだけの情報量をさばくにはあなたには2つ選択肢があります。
①【高速に処理できるようになる】
②【必要な情報だけを抽出できるようになる】
あなたはどちらのスキルを身につけたいですか?
時代が求めるスキル
これからの時代、人工知能やビックデータの登場によりさらに世の中の変化は加速していきます。変化が早くなるほど、あなたにはより多くの情報が投げかけられるようになります。
そういう時代のスピードに振り落とされないようにアンテナを張ることも大切なのですが、人間の処理能力には限界があります。
100mを5秒で走りたいからといって、時速72km/hで車に引っ張ってもらえばいいのか?というと、そういうことでもないですよね。物理的にそのスピードを実現できるものがあっても、人間が同じスピードで歩調をあわせることは難しいのです。
なので、『必要な情報をいかに効率的に抽出するか?』というスキルが、これからの時代とても重要なスキルになってきます。
ここで僕が推奨している思考ツールの一つをご紹介します。
【レオナルド式 思考ツール】アンドを取る
アンドを取る
突然ですが『ベン図』という言葉を覚えていますか?
昔、小学校で習ったこんな図です。
「AかつB」とか「AまたはB」とか習ったあれです。ちなみにAとBが重なりあった部分を「AかつB」と呼びます。
「AかつB」は、「AとB」つまり「A and B」と言い換えることができますね。僕はこれを【アンドを取る】と名付けていつも意識しています。
この考え方は凄くシンプルなのですが、調べ物や勉強、問題解決に至るまで、様々なシチュエーションで使える超便利かつ超強力な思考ツールなので、ぜひご紹介をさせてください。
『アンド』は最強の思考ツール
改めて、”A and B”という状態は、図1のように要素Aと要素Bが重なり合う部分を指します。つまり、AとBの共通する部分に相当します。要素はもちろん複数になっても大丈夫(図2)
その中でも特に、すべての要素が重なり合っている部分は非常に重要度が高い要素が眠っている可能性が高いです。
では、なぜ重なるところの重要度が高いのか? いくつか事例を使って解説していきますね。
【事例1】本を使って調べ物をする
例えば、何かのテーマについて本で調べたいとします。
【アンド手法】的にアプローチをすると、ステップは以下のようになります。
- 異なる複数の著者の本をまず揃えます。(要素を揃える)
- それぞれの本をザッと目を通して、「全員の主張が同じこと」「頻出キーワード」を抽出します。(ANDを取る)
こうすることで、そのテーマにおける共通の主張や共通のキーワードを簡単に集めることができます。仮に、著者によって主張が割れる部分は一旦無視します。まだ、それが真かどうかはこの時点では判断しません。「みんなが言っているから大事」というシンプルな考え方で、難しく考えずに素直に従います。
感の良い方ならすでにお気づきかもしれませんが、調べる本の数(要素の数)が増えれば増えるほど、交わり合う箇所が小さくなっていくので、その分情報の精度も上がっていきます。不要な情報が勝手に削ぎ落とされて、優先度の高い、いま調べるべきことだけを見つけることができます。
必要な要素の数ですが、だいたい3〜5冊を目安に実行されると良いかと思います。
一方で、そんなにたくさん同じような本を買いたくない、という方もおられるかと思います。その場合は本の目次だけを立ち読みする、Kindleのサンプルでダウンロードする、図書館で借りる、などでも全く問題ありません。
目的は『あなたが調べようとしているテーマの必要な情報を抽出すること』なので、それが達成できればどういう読み方でも問題ありません。
また、『読書が苦手』という方も安心してください。読書が超苦手で超遅い僕がおすすめする読書法もご紹介しています。くわしくは【時間密度の高い読書法】をご覧ください。
【事例2】iPhoneはなぜ売れたのか?
2007年に最初のiPhoneが発売されて以来、いまや多くの人の生活の一部に浸透しています。ディスプレイを最大限大きくして、画面のタッチパネルから直接キーを操作できるようになったことは、その当時非常に画期的でした。
それまではブラックベリーのような携帯電話に小さなキーボードを搭載した端末が、主にビジネスマンの間でよく使われていました。(図4)
iPhoneのキーの操作性もさることながら、もう一つ画期的だったことはアプリを使えるようになったこと。これによりユーザーが自分の携帯電話に必要な機能だけをインストールして、自分専用の端末に簡単にカスタマイズできるようになりました。
これもまさに『ANDを取って』必要な機能だけを残して、あとはユーザーに自由度を与えた素晴らしい成功例でした。
まとめ
今回はレオナルド式思考ツールの一つ『AND(アンド)を取る』をご紹介しました。
なるべく対象の要素の数を増やしてから【AND】を取ることで、あなたが集中するべきキーワードを素早く簡単に抽出することができるようになります。
ところで、この思考法を一見新しい考え方のようにお伝えしていますが、実はすでに、あなたも普段の生活で無意識的に実践していませんか?
スマホで調べものをする際、検索結果ページをさーっとスワイプしますよね?このとき、あなたは共通項を探しますよね?まさにその操作そのものがこの『AND(アンド)を取る』になります。
ただし、ここで重要なことは、その操作・思考を勉強や仕事のシチュエーションでも意識的に使ってみてほしい!ということです。そしてさらに、一度抽出したキーワードに対して何度も『ANDを取って』どんどん掘り下げていけば、それだけでかなりの情報量を集めることができます。
大切なのは、
- 「何を調べているのか?」という目的が明確であること
- 抽出したキーワードが大量にある場合のまとめるフローが確立されていること
です。
無意識的にやっていることも、意識的にやってみると、他のことでも適用できることが多くあります。
「このときはこのやり方」「このときはこっちの方法」…のように【場合分け】を増やさず、共通で使えるシンプルな思考を意識してみると、頭の中がもの凄ーーーく整理されるのでぜひ普段の意識の中に取り込んでいってみてください。
みよし
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